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先生インタビュー(3)

第3回は、高校生徒指導部長の 青木 早穂子(さほこ) 先生です。

創立114年という伝統校である本校の生徒指導部長に着任されてから7年。生徒指導部としての取り組みについて、また、現在の生徒たちへ伝えたいこと、保護者の皆様へ伝えたいことなどをインタビュー形式でお尋ねしました。

Q.青木先生は、体育科・陸上部(短距離)の顧問の先生で、本校卒業生でもあり、先生ご自身とお嬢様の親子2代で本校陸上部に所属され、大変優秀な成績を収められています。最初に青木先生の学生時代のご活躍についてお聞かせ下さい。

 私は、中学から陸上を始め、全国大会に出場しました。高校3年生で400mハードルという種目に出会い、全国で初めて入賞し、大学時代では日本選手権、国体等で優勝し、アジア大会で5位入賞をしました。娘は、高校時代にインターハイで2位、U20日本選手権で優勝などの結果を出し、現在、青山学院大学陸上部で頑張っています。

 とにかく筑女では、部活と勉強を両方とも頑張らなければと思っていました。朝課外がない日は必ず7時40分から朝練をしていました。

 筑紫女学園高校の陸上部でこの種目に出会い、そして、本校とのご縁で、ここで教職に携わらせていただき、卒業して何十年たった今でも筑女で良かったと思っている次第です。

 

Q.本校の生徒指導部として、先生方が指導の目標となさっていること、また日頃の取り組みについてお聞かせ下さい。

 まず、安心・安全を一番に考えた生徒指導を行っています。昔と違う事案が、特に私たちに見えないところで起こっている可能性が高いので、全校集会などで、生徒の状況や、様々な事件やニュースの出来事の中で、特に注意してもらいたいことを必ず生徒に伝えています。

 最近では、登下校のマナーで注意をいただくことが多いため、礼拝時などに生徒たちにマナーを守るよう呼びかけています。

 また、毎年、最初の新入生研修の時に、私から新1年生へ「生徒指導とは、皆さんを守るためのものです。学生時代に身に付けたことは、将来にわたって影響を受けるものだから、今、そして未来を守るためのものが生徒指導なのです。」と伝えています。

 その他、考査前・考査期間中・三者面談期間中の下校指導で、正門や校外の赤坂バス停付近に教員が立って指導し、授業時間、休み時間には、校内を教員が巡回・警備します。また、月1回の風紀検査を実施しています。

 

Q.近年、時代に即した校則の見直しがなされた点をお聞かせ下さい。また、それはどのようなプロセスを経て決定されていくのでしょうか。

 まず、生徒指導部長になっての7年間で、本鞄・コートの変更、マフラーの自由化、髪型の変更、お弁当袋の使用可などを生徒指導部会議で提案し検討の後、決定しました。

 最初に取り組んだのが、本鞄の変更でした。まず、昔の布製から同じ形の革製に変え、次に、今の本鞄は、ショルダー型とリュック型という2種類にし、以前より使い勝手がよくなりました。

 次に、コートの変更。金額的・素材的にも使い勝手の良いものに変更し、ピーコートとダッフルコートの2種類から選ぶことが可能です。

 続いて、マフラーの自由化。娘が在学中に、とにかく黒・無地で150cm以内のマフラーを探すのに大変苦労したので、長さの規定をなくし、数年後、自由化しました。みんな自分好みの可愛いマフラーをきちんと着用しているので、自由化して良かったと思います。今、授業中に換気もしないといけないため寒いので、ひざ掛けはOKにしています。

 そして、髪型の変更。以前、中学生は「2つ結びで、長くなったら三つ編みにする」高校生は一つ結びがOKでしたが、「耳より下で結ぶ」という校則がありました。髪型に関する校則の変更については、特に中学に於いて生徒たちは、校則を変えるからには、学校生活の決まりをきちんと守っていこうと自分たちで呼びかけました。その姿を見て、教員で協議をし、髪型の変更を実現することになりました。今は、中学生も高校生も1つ結びOKで、結ぶ位置を特に指定していませんので、ポニーテールで結んでいる生徒も多く見られます。

 そして、以前はお弁当袋もサブバッグに入れなければならなかったのですが、本鞄が大きくなったため、サブバッグを使う必要がない生徒も、お弁当袋だけをサブバッグに入れなければなりませんでした。生徒の実情に合わせて、お弁当袋はサブバッグに入れなくても良い、ということに変更しました。

 今、筑紫会(生徒会)も目安箱からの意見をまとめ、制服や校則についてやりとりをしながら、より良くしていこうという流れもあるので、それを受けて、生徒指導部で検討していくことも、今後考えられるかなと思います。

 生徒指導部も従来のルールに則っていないとダメだということではなく、それぞれの考えやニーズに柔軟に対応しないといけない時代。違反せずにきちんとしている生徒が多いので、別に縛りつける必要はないと考えています。生徒たちが自ら考え、快適に過ごせるような、ニーズに合わせた形で今後もいろいろと変えられるものは変えていこうと思っています。

 ただ、本校生徒が、天神や博多で校則違反の姿で歩いているなどの情報が入れば、すぐに出動します!

Q.学校内での生徒の様子や問題点についてお聞かせ下さい。

 全体的に落ち着いた学校生活を送れていると思います。よく積極的に挨拶もしています。欲を言えばその場その場に応じた行動や発言がもっとできると良いなと思っています。

 コロナの感染拡大が収まらない今、黙食は続けています。生徒たちは自主的に必ず手洗いをしていて4限目の授業終わりにはトイレと洗面台にずらっと並ぶ姿が見られます。やるべきことはきちんとやれる生徒が多くいます。

 

Q.本校では、通学時の安全確保の為にもスマートフォンを持つ生徒さんが多い環境であると思います。社会問題化しているSNSトラブルなど、本校生徒の身近な問題として、どのような対策・指導をされていますか?

 まず、年度初めに全校生徒に向けてネット講習会を実施。1年生には新入生研修で細かく伝えています。どういうSNSの使い方をしているのかが一番心配な点ですが、本校では表立って問題がたくさん起こっているような状況ではないです。きちんと使えて、友人関係などでいろいろなトラブルがあっても自分たちで解消しているのかもしれないですけれど。やはり、夜何時まで使っているのかという家での使い方が少し心配なので、集会の時に生徒たちへ伝えています。

 また、最近ニュースになった裸の写真を送らされるという事案が福岡市内でもあったので、長期休暇の前にSNSの使い方の注意を全校生徒へ再度伝えようと思います。

 

Q.子どもたちのSNS利用について、悩んでいるご家庭も多いと思いますが、今一度、生徒さん、保護者の皆様へ伝えたいことをお聞かせ下さい。

 やはり自分の中でルールを作る、自分を律するということがまず大事だと生徒に伝えていきたいと思います。親が何を言っても聞かない年代なので。

 そして、今後の集会で「スマホを手放せば、偏差値10上がります‼」というような生徒の心に響く話が少しでも出来たら良いなと思っています。

Q.本校は生徒数も多く、通学範囲も広いので、学校外からも生徒の様子やマナーについて声が寄せられていると思います。生徒指導の際に気をつけられていること、また保護者にできること、伝えたいことがあればお聞かせ下さい。

 最近、イヤホンをつけて登下校をしている生徒がいます。大変危険ですので注意喚起をしていますが減っていません。今後指導を強化していきます。

 また、コロナ禍で密を避け、遠距離を自転車通学する生徒も増えています。事故につながる心配がありますので、自転車通学者を集め安全指導をする機会を設けたいと考えています。

 保護者の皆様には、本校生徒の送迎の駐・停車について近隣の方からのお電話が複数件よせられていますので、気をつけていただければと思います。

 

Q.最後に、青木先生が生徒に対して願っていること、伝えたいことをお聞かせ下さい。

 高校3年間というのはすごく短い期間ですが、とても貴重な日々です。ぜひ生徒の皆さんには、自ら主体的に学び、社会に出ていろいろな形で貢献できる力を身に付けてほしいと思います。さまざまなことにチャレンジして、乗り越える経験をたくさんして、先の厳しい社会を生き抜いていける強さをこの3年間で少しでも身に付けて卒業してほしいと思います。

 誰かの力になれる人、何かの役に立てるような社会の一員になってください!

 そして、やはり、思慮深く! 配慮できる人になってほしい! それができれば、いろいろな交通マナーの苦情などもなくなります。自分のことしか見えていないから、大声で話したり、他者をよけずに道いっぱいに歩いたりということがあります。

 最後に、生徒に対する願いは、卒業する時に「筑女で良かった!」と言ってもらえたら良いなと思っています。自分たちが卒業して、母校となる筑女を誇りに思えるような学校に在学中に自分たちでしていってもらえたらより良いですよね!

取材を終えて

 「いつの日か〝筑女で良かった″と思ってほしい。」と青木先生は笑顔でインタビューを締めくくられました。在学当時の校則や、陸上に励まれていた学校生活についてお話しいただき、筑女でなければ教職に就いていなかっただろうと、学園での多くの出会いやご縁を大切にされていることをお聞きしました。ご自身も一保護者であられた視点からの生徒指導は、古き良き筑女の風紀を伝承しつつ、現況に柔軟に対応し生徒・保護者に寄り添ったものだと思いました。先輩として母として日々生徒たちを守り導いていただいていることに深く感謝いたします。

 青木先生、お忙しい中お時間を作って下さりありがとうございました。今後ともご指導よろしくお願いいたします。

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