広報委員会 活動報告

伝統の筑女Part1(洗心庵、待合、香風亭)

秋風の爽やかな季節となりました。 web配信となり初の崇信、今年度は本校のテーマである「伝統と革新の教育が、心を育て可能性を伸ばす」に基づき、数回にわたり中学校、高等学校の施設、設備を中心にご紹介いたします。 今回のテーマは「伝統の筑女part1」。筑女が誇る国の登録有形文化財『洗心庵』『待合』『香風亭』についてご紹介します。

 

『洗 心 庵』

洗心庵は学校創立30周年と初代校長・水月哲英先生の古希を記念して昭和15(1940)年に建てられました。 北に四畳半の茶室、南に六畳の水屋を配し、水屋にも丸炉を切っています。屋根は東西棟からT字型に南北棟が延び、妻などに土庇を付設する、木造平屋切妻造の建物です。丸太柱を多用し、外壁は漆喰仕上げ、軽快で変化に富む外観をしています。 80年も前に建てられた洗心庵、『和敬清寂』という茶道の心得が静かに感じられます。

 


『洗心庵・内部』

炉畳を中央に、貴人畳、客畳、踏込畳、道具畳が敷かれています。 床に向かって貴人口、同左側に茶道口、同右手矩折りに躙口を設けます。 杉皮などを編んで美しく組み合わせた三種の天井には、おもてなしの心を大切にする茶道の、奥深い意味が表現されているそうです。 狭い空間の中でも、随所に工夫が施されている洗心庵内部です。

 


『待 合』 

茶室の庭(露地)にある待合は、茶事に招かれた客が待つ場所です。 洗心庵と共に昭和15(1940)年に建てられたと推測されています。 西に面した木造平屋の切妻造、杉皮葺竹押、漆喰塗壁の建物です。 風流な工夫が随所に見られ、庭を通って茶席につくまでに、亭主の客に対する非日常を楽しんでほしいという 心尽くしが感じられます。 ぜひ一度、待合に座りながら、洗心庵の佇まいや庭の雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。

 


『香風亭外観』

香風亭は昭和30(1955)年、茶室としてだけでなく、礼法や作法の学習や応接の場として建てられました。名は「四海香風従此起(四海の香風ここより起こる)」と「看此花枝中有風露香(看よ この花枝の中、風露の香あり)」の二つの句からとられました。「香風」の2文字には子女が花のように咲き満ちて芳香漂う学園像を願ったニ代目校長・水月文英先生の生徒達への思いが込められています。

 


『香風亭・内部』

建物は広間書院二間、小間茶室、水屋が広縁に囲まれ、床柱や黒柿の框、杉落掛、吹寄棹縁天井、違棚や、外壁は杉皮を篠竹で押さえた腰壁の上に本漆喰と、随所に和の真髄が漂い、目にする端々に「本物にふれることが生徒達の生涯の財産になる」という当時の校長水月文英先生の心が今も感じられます。 「香風」の名の由来の2つの書がそれぞれ正室と正面玄関に掛けられています。

 


『内部からの眺め』

10畳と15畳の二間続きの書院から端正な広縁越しに眺める茶庭は、四季の緑陰に彩られ、折々の景色を届けます。天神にもほど近いこの都心にあって、これほどまでに素晴らしい景観がもたらされることは本当に有り難いことであり、この茶室を現在でも生徒達が使用できる意義はとても深く、なんと幸いなことかと思います。

 


『文化財の碑』

2つの茶室と待合は、国の登録有形文化財として、平成23(2011)年に登録されました。建設当時は戦中戦後で物資不十分にもかかわらず、卒業生の尊い寄進によって竣工されたそうです。 筑紫女学園が守り発展させてきた、良質な女子教育の象徴の一つとして、また福岡のかけがえのない文化財として、創立からの心を発露し続けています。 保護者の皆様もお茶会の催される際などに、ぜひ貴重なこの建物を体感しにいらっしゃってはいかがでしょうか。

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