広報委員会

先生インタビュー(2)

第2回は、進路指導部長の中田学先生です。筑紫女学園に19年勤務され、日本史を担当されている中田学先生に、大学入試の方式や、学校の取り組みについてインタビューをさせていただきました。

Q.近年の大学入試方式について、テストの傾向と対策を教えて下さい。

 受験では、学力評価はもちろんのこと、人物評価も重要になります。

 共通テストが導入され、ただ単に知識を問う問題だけでなく、知識をもとに考えていく思考力を問う問題が多く出題されています。

 その背景として、少子高齢化、A Iの導入、グローバル化などが進んで社会構造が大きく変化し、貧困問題、エネルギー問題、環境問題など、身近な地域や世界規模で課題が生じていることが挙げられます。そのような課題に対して、知識をどれだけ理解して活用できるか、自分が習ったことをもとに、その課題に対して考えていく力が必要であるということです。

 従来の大学センター試験に比べると、新しく導入された共通テストでは、国語と英語では文章量がかなり増え、読解力が必要とされ、また、文字やデータ、図など複数の資料が用いられる教科もあり、的確に必要な情報を読み取っていく力が必要になります。

 本校では、定期考査や実力テストを行っていますが、入試がこのように変わってきているので、知識を問う問題とあわせて、思考力を問う問題を取り入れています。

 また進研模試でも、大学入試を意識して、思考力を必要とする出題が多くなされています。繰り返し復習に使っていくと勉強になると思います。

 

Q.指定校推薦の人数、共通テストを受験される生徒は、どのくらいいますか。

 学部などの指定がありますが、今年の指定校推薦枠は、大学では合計で100名を超えています。高校3年生に夏休みから校内限定サイトで案内しています。共通テストを受験する生徒数は年度により異なりますが、昨年は170名ほどでした。

 

Q.求められる力は、どのようなものですか?

 入試改革が始まり、学力の3要素が求められています。3要素とは、『知識、技能』『思考力、判断力、表現力』『主体性、多様性、協働性』です。

 もう一つ重要なものは、大学が選抜を実施していくに当たって、どのような人物を受け入れるかを示す「アドミッションポリシー」です。大学側は個別試験や書類審査、面談などで志願者がアドミッションポリシーに合致しているか、という観点で見ています。その為、志望校のアドミッションポリシーをよく理解した上で、志願理由を具体的に考えてもらう必要があります。

 そこで意識してほしいことは、自ら前向きに学びや活動に取り組んでいくことです。自分から向かってこそ、何かしら大きなものが得られると思います。例えば、学校行事の際、クラスで何か一緒になって目標に取り組んでみるなど、興味や関心のある事には、更に挑戦してほしいと思っています。

 そして、PDCA「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」を意識して、自身が取り組んだ活動をしっかり振り返り、よかった点や課題などを見つめ直すことで、次に繋げていってほしいと考えています。

 

Q.本校のキャリア教育の取り組みについて教えてください。

 中学生には、社会に目を向け、関心を広げる取り組みを行っています。高校生には、将来の職業や、やりたいことの実現に向けた進路を考える取り組みを行っています。以下で挙げているのは、今年度の事例です。

 中学1年生では希望者に対して、企業の出前授業を通して、企業が取り組んでいる社会的活動や社会的責任について学び、また食堂・購買部の協力を得て、商品開発を行っていきます。

 中学2年生では、海外で働いている様々な職種の方の話を聞く機会を設け、世界に対する関心を広げるとともに、新聞から地球温暖化問題などの世界的な時事問題を読み取ることを行っています。

 中学3年生では、職業の適性検査(自己分析・適職発見プログラム)を参考にして、大学の学部などを調べ、関心を持ってもらいます。また、研修旅行を通じた平和学習などから、社会との関わりに気付く機会を設けています。

 高校1年生では、文理の選択に関わる活動を進めています。大学のアドミッションポリシーを読み取り、どのような学生が求められているかについて考察し、そのことを意識した高校生活をどのように送ればよいかを考える機会を設けています。夏休みには、大学の先生にご来校いただき、専門の分野に関する授業や大学生活の話を聞き、関心を持ってもらいました。また、SDGsからテーマを決め、関連ある企業や大学と、メールやzoomでやり取りを行いました。

 高校2年生では、志望理由を深める活動を行っています。2校以上のオープンキャンパスに参加して、関心を持っている学部・学科について比較することを通して、ミスマッチ(進学した後に後悔すること)が起きないようにすることを意識する取り組みを行いました。また、SDGsのテーマから、その取り組みに興味のある企業訪問を行いました。

 高校3年生では、志望校で学んでいく力や社会で生きる力を身につけ、志望校合格に向けて日々の学習に取り組んでいます。

 

Q.最後に、保護者の方に伝えたいことは何でしょうか。

 最初にお伝えしたいことは、コロナ禍の中、本校の教育活動にご理解、ご協力いただいて本当にありがとうございます、ということです。

 教育面では、お子様が興味・関心を持っていることに、ぜひ挑戦させてほしいと思います。壁にぶつかることもあるかも知れませんが、お子様を見守って応援していただけたらと思います。

 また、今日では手元にあるスマホで簡単に情報を収集できますが、興味・関心を持ったことを自分で積極的に調べてみたり、実際に自分が取り組んでみて見解を広げたりすることが大切だと思います。

取材を終えて

 共通テストは、変革の時期にあり、情報収集が大変になるとの話を聞いて、改めて大学入試の難しさを知りました。保護者との会話の中から、進路を見つける生徒がいる話も伺い、子どもとの会話から、将来への興味や関心を導くこともできると思いました。様々な職種がある現代社会において、子供たちにとって最適な進路に出会える機会を作っていければ、筑女が掲げる「自分らしい生き方」を見つけることができるのではないでしょうか。

 中田先生、お忙しい中インタビューのお時間を作って下さり、ありがとうございました。今後ともご指導よろしくお願いいたします。

 

 

 

タイトルとURLをコピーしました